1980年代半ばから、美景観や安全などを目的として日本全国で進められてきている「無電柱化」の取り組み。
その中心となっている手法は電柱地中化です。電力線や通信線を道路の地下に収容するのですが、この際、電柱に設置されていた変圧器や開閉器はボックスに収めて地上に設置されることになります。これが「配電地上機器」です。
この配電地上機器を利用したデジタルサイネージの実証実験が開始されました。どのような取り組みなのかを見ていきましょう。
田町駅前の歩道上にデジタルサイネージが登場
2018年4月、JR田町駅東口、配電地上機器を活用したデジタルサイネージによる実証実験を行うために、人通りの多い大通りの歩道上にデジタルサイネージが登場しました。
この場所にもともと設置されていた配電地上機器の上部にデジタルサイネージを設置、ラッピングしたものです。
実証実験を行うのは、パナソニックとパナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下、「パナソニック」)、東京電力パワーグリッドと東電タウンプランニング(以下、「東電PG」)です。
パナソニックが東電PGと共同で開発した「ストリートサイネージ」実証機の設置および情報の配信、東電PGが配電地上機器からの電源供給を行い、共同にて情報発信の効果検証、配信システムの検証などを行うものです。
配電地上機器を活用したサイネージの実証実験は上野公園でも行われていますが、歩道上での実証実験は国内初となります。
立地を生かし、港区の情報を通行者に向け配信
ストリートサイネージでは、区政に関する情報や広報番組、地域イベント情報など、港区の情報がローテーションで配信されます。
情報が配信される時間帯は5時から0時までとなっています。さらに緊急時には日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語で、警報や注意情報をリアルタイム配信する方針となっています。モニター下部にはセンサーが備え付けられており、視聴者の性別や年齢が判定できるようになっています。実証実験では、どういった層にどういった情報やコンテンツが見られているかについても検証される予定です。
路上での情報配信、全国へ
この実証実験は2019年3月まで行われる予定となっており、実証実験を通じて、配電地上機器の立地を生かした情報発信の有用性や実現性について検証がなされます。
無電柱化が全国で進んでいる状況に合わせ、パナソニックと東電PGは今後も共同して全国的に配電地上機器を利用したデジタルサイネージの設置を進めていく方針です。2020年に向け、街中での情報配信が求められる中、歩道上にデジタルサイネージがある風景が当たり前になっていくのかもしれません。
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